40~50代向け

不動産の財産分与と譲渡所得税

婚前契約書に列挙した特有財産(特に、親から相続した不動産等)を、離婚時に「財産分与」名目で妻側に移転する条項に基づいて夫婦共同申請で移転登記手続する場合、或いは、家庭裁判所の調停に基づいて移転登記手続をする際には、注意が必要です。

税務上「みなし贈与」にあたるため、妻側に贈与税或いは不動産取得税が生じるんでしょ?と思うかもしれませんが、実は、さらに、夫側に譲渡所得税が課税される場合があります。

妻の過大な(慰謝料的)財産分与請求に対し、夫の特有財産たる不動産を弁償に充てたケースでは、財産分与により不動産を分与した者は、「分与義務の消滅」という利益を受けたと考られるため、分与時点の価額を基礎として、分与者に譲渡所得税が課税されることになります(この場合、取得費は不明であるとします。)

この点については、長年連れ添った夫婦の場合であって、夫婦の共有財産を妻の単独所有にするケースでは、土地所有権(持分権)の移転登記手続における「登記原因」は、「財産分与」と表記されますが、上記のような例では、「贈与」と記載される可能性が高いです。

なお、この点については、各法務局登記官において解釈や運用が異なり得ますので、法務局の見解を仰ぐしかありませんが、リスクヘッジという観点からは、婚前契約書を締結する段階において、特有財産を配偶者に移転するようなスキームは、特別の事情(贈与税、譲渡所得税を支払ってもなお妻名義にする事情)がある場合を除き、避けるべきだと考えます。