40~50代向け

婚姻前から保有する不動産を離婚から守る方法

この場合の不動産とは、婚姻前から夫(あなた)が所有する居住用不動産を想定しつつ説明をしたいと思います。

離婚したとき、妻側に不動産に関する権利主張を防ぐ方策についてまとめてみました。

一般的な家庭における婚前契約書においては、家族居住用不動産にかかる住宅ローン、家賃等のランニングコストについては、夫婦共有財産から支出されるのが一般的です。

初婚であって、かつ、夫婦の収入が等しいか大差が無いケースでは、夫婦で出し合ってプールした金額から住宅ローンを支弁する旨合意するケースもよく見られます。

一旦話は変わりますが、ここでいう「婚姻費用」とは、夫婦が婚姻生活を営むために必要な費用をいいます。

同居時の婚姻費用として、いくらくらい必要となるのか、夫婦の生活スタイルや子どもの数などから決めるのが一般的です。

一月当たりの婚姻費用について、どちらがどのくらい負担するのかについては、夫婦の収入(及び財産)で決定されます。

本ブログは、夫の収入が妻の収入に比して高い夫婦を想定しますので、婚姻費用の分担割合については、原則として、夫が全て負担することになり、

婚前契約条項も下記のようになります。

甲及び乙の一月当たりの婚姻費用については、甲及び乙の現在の収入及び財産に照らして、当面の間、金60万円とする。甲は、第●条●項●号の特有財産の中から、前記婚姻費用の分担金として、金60万円を、毎月末日限り、甲及び乙で決定した生活費の引落し口座(●●銀行●●支店 普通●●●●●●●、名義人●●以下「生活費支出口座」という。)宛入金し、甲及び乙は共同で管理する。

もし、婚姻費用の中から家賃等を支出する場合、婚前契約書の条項の「共有財産から支出することができる費目」に関する条項で、賃貸不動産にかかる家賃相当額と支出することができる旨記載することで、支出根拠を整理することができます。

夫婦で一緒に購入した不動産や、賃貸不動産であれば、婚姻費用の中から支出することで問題はないでしょう。

問題は、あなたの特有財産である不動産に、家族で居住する場合です。

気持ちの上では、家族で居住する不動産でありますから、住宅ローンを組んでいるのであれば夫婦共有財産の中から支出したいと考えるのが自然です。

しかし、あなたの特有財産である不動産の住宅ローンについて、共有財産から弁済してしまうと、妻とともに資産を形成していていると評価され、後日、増加資産(含み益が生じればその部分)或いは共有財産から支出した金額について、財産分与の対象となる可能性が出てきます。

このことは、住宅ローンの弁済金に限らず、不動産の価値の増加をもたらすような支出(サンルーフを付けたり、オール電化に変更する工事、外壁塗装)があった場合にも問題になりえます。

クロス張り替えなど、小規模な修繕費については夫婦の財産から支出することは問題無いと考えますが、大きな金額となると、不動産にとり有益費、価値増加費用として評価されます。

上記のリスクを避けるため、特有財産たる不動産に居住するときは、次のような条項例を設けてみてはどうかと考えます。

なお、同様の条項を設けることが大事なのではなく、常にそのような注意を払いつつ、固有の財産から何らか費用を支出する際は支出の事実を証拠化する作業がより重要になってくるのだとうと思います。

一方の特有財産たる不動産に夫婦で居住するときは、婚姻費用(或いは共有財産)から、住宅ローン、不動産の価値を高める費用その他の費用は支出しない。

気をつけるべきなのは、婚姻期間中に限りません。

別居時婚姻費用の支払時にも、同様の問題は付きまといます。

通常の夫婦ですと、夫婦共有財産である不動産に妻が居住し続けている場合、その期間については、

夫は別居時婚姻費用を支払いつつ、住宅ローンも弁済する二重払いを避けるため、住宅ローンの一定割合を別居時婚姻費用から差し引いて支払うという運用がなされます。

控除できる根拠としては、別居時婚姻費用の内訳として賃料に当たる金額含まれており、支出がないのであれば、当然控除すべきという考え方が主流です。

実務的には、同割合(控除することが出来る金額)は一律ではなく、審判例をみていると別居時点における夫の収入(もちろん財産も考慮されます。)、妻の収入を考慮して、控除金額が決められるため、ほとんど、控除しないケースもありえます。

本件のように、高額所得のある男性の場合においては、そもそも、控除が認められないケースであると思われます。

注意すべきは、あなたの特有財産たる不動産に妻が居住し続けている場合において、妻が居住を継続する代わりに、住宅ローン相当額を事実上肩代わりさせたり、同相当額を別居時婚姻費用から差し引くことによって、妻側に住宅ローンの一部を負担したと受けとられるような合意・運用は避けた方がよいのではないかと考えます。(別居時婚姻費用を大きく減額することによって、妻が夫の資産形成(不動産の獲得)に影響を与えたとの言い分は到底通らないとは考えますが、そのようなロジックを予防するための方法として、次のことを提案します。)

この点については、審判例の蓄積がないことから、対応方法は色々ありえます。

①別居時婚姻費用について、妻が夫特有財産たる不動産に居住を継続する場合においても、婚姻費用変更しない

②あらかじめ、別居時婚姻費用から1~2万円程度差し引く旨の合意を行い、同金額を控除する趣旨(妻が退去した場合であれば、当然負担を余儀なくされたであろう家賃相当額について、この負担(支出)を免れた金額の一部を控除する旨)を明確にしておく

以上ようなことに留意しつつ、生活費口座から支出しうる費目範囲の設定、別居時婚姻費用の金額についても、検討することをおすすめします。

なお、同じような問題(夫婦共有財産から夫特有財産の価値を増加させるという問題)は、家庭で、夫の事業用の自動車を使用している場合にもおきます。

注意点としては、共有財産から、特に、自動車ローン、利息、車検等メンテナンス費、自動車税等を支出することは避けるべきです。

必ず、夫側の特有財産管理口座から支出するようにしましょう。

税務申告上一定割合を家事按分としている場合であっても、同様です。