婚前契約全般

制度設計

婚前契約書を作成ときに、先ず決めることは、その夫婦がどのような財産制を想定して婚前契約を締結するかであると思います。

迷うとすれば次の3つです。

1つ目は、民法所定の夫婦別産制を前提として、互いの特有財産について、それぞれ相手方に対して、スポット的に、使うこと、収益することを認めるという考え方

2つ目は、法定の夫婦別産制を前提にしつつ、この状態が離婚するまで建前として維持されます。そして、婚姻が解消するときになって、互いの特有財産が増加したり、減ることなく維持されたのは配偶者の貢献があったとして(フィクション)、婚姻解消時に互いの財産に持ち分権を主張できるもの。

3つ目は、婚姻開始時から、「お前の者は俺のもの状態」、すなわち大部分の財産について、夫婦共有財産とするもの。但し、共有財産の範囲を話し合いで決めて、個人で使用収益処分可能なものを残す考え方。

夫婦財産契約、婚前契約を作りたい人にとっては、1の制度を選ぶことになります。

当然、2人で夫婦生活を営む上で、ジョイントベンチャー(JV)のように共同で出資をしあって事業を成し遂げることは否定されないのであって、明確に、別産制であることを記載してかまわないと思います。

夫婦別産制を採用する際は、契約書の柱書か、最初の方の条文で、次のような条項を入れたほうが良いです。

甲及び乙は婚姻に際して、夫婦別産制(夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする考え方。)を採用することを合意した。

甲及び乙は、婚姻に際して、民法所定の法定財産制を採用することを合意した。

 

次に悪い例をご紹介します。

甲及び乙は婚姻に際して、いずれの名で得た財産であるかを問わず、包括的に共有財産とする旨合意した。

甲及び乙は婚姻に際して、婚姻前から取得していた財産、及び婚姻中に有償取得した財産は、共有財産とする。

ネット上に最近出回っているテンプレートの中には、制度設計に一切ふれることなく、単に「互いに課税所得のナンパ―セントを生活費口座に入れ、共同管理する」といった合意にとどまっていることが多い印象です。

制度設計について定めた後は、婚姻生活において、特有財産と共有財産とが混入しあわないよう口座を分ける、夫婦用のクレジットカードを作成する。引落し先を明確に区別するなどしつつ、厳格に運用するよう注意しなければなりません。